私はピロウズが好きだ。 中学生のときに出会ってからというものの、私の人生の3分の1はピロウズによって作り上げられてきた。
そんなピロウズが、今年の2月1日に解散を発表した。 本当に突然だった。
彼らがなぜ解散したのか、その理由は公には語られていないが、どうやらその傾向がなかったわけではないらしい。 好きだ好きだと言いつつ私はファンクラブには入っていなかったので、正直そこらへんの事情は分からないし、語る資格もない。 ただ、それでもとにかく「今までありがとう」と言いたい。
さて、こんな辛気臭い話をしたくて私はこの記事を書いているわけではない。 今回は、私が特に好きな8曲の紹介を通して、ピロウズの魅力を伝えていきたい。 バスターズのあなたにも、ピロウズを知らないあなたにも、ぜひ見ていってほしい。
Blues Drive Monster
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もともとこの曲はお気に入りだったが、その日を境に「お気に入りの一つ」から「私にとってのピロウズの代名詞」へと変わった。 2019年10月7日に横浜アリーナで行われた「LOSTMAN GO TO YOKOHAMA ARENA 」 彼らの30周年記念のライブだ。
このライブの3曲目、つまり序盤も序盤でBlues Drive Monsterが演奏されたのだが、イントロが終わってさわお氏が歌い始めるころには、私は大泣きしていた。泣きすぎて彼らの演奏がほとんど耳に入ってこないほどだった。
一体、この曲の何がそこまで深く突き刺さったのか。 あのときの会場の空気感と、この曲自体の良さと、彼らの演奏。それら全部が突き刺さったとしか言えない。
流行りの音楽にも乗れず、テレビも見ず、貯蓄しろとかNISAしたほうがいいとか、若いうちに遊んでおけとか、結婚しろとか言われてもさっぱりピンと来ない。 どうにも、世間との馬が合わない。 で、勝手に肩を組むようで申し訳ないが、きっとバスターズの多くも、少なからず近しい心境で生きてきたのではないだろうか。 そして間違いなく、ピロウズにもそういう時期があったのだろう。あるいは、今もずっとそうなのかもしれない。 そんな風にしか生きられない人間の想いが全て詰まっているのがBlues Drive Monsterであり、そしてピロウズの音楽なのだと私は思っている。
しかし、ただ「はみ出し者の肩を持ってくれる」というだけで、この曲、そしてピロウズが好きなのではない。鼻つまみ者が好きに生きたらどうなるか? 世間に中指を立てたらどうなるか? Blues Drive Monsterは、本当にこの世界を踏みつぶしてくれるのか? そこのところをごまかすことなく、最後まで伝えようとしているから、私はピロウズを信じられる。
好きに生きて、最後には砕け散って、きっと風に吹き飛ばされるのだろう。
ノンフィクション
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ピロウズの曲リピートランキング第1位は、このノンフィクションかもしれない。 そう思えるくらいにはお気に入りだ。
この曲は本当に不思議な曲だ。バチっとかっこいい感じではなく、どちらかというとおとぼけ感というか、ちょっと抜けている感が漂っているのだが、それにもかかわらず死ぬほど心が揺さぶられる。
そう感じるのは、きっとBlues Drive Monsterと芯の部分では共通しているからなんだと思う。 「うざったい世の中にあっかんべーしながら気ままに生きていくぜ 」という、ピロウズらしいエッセンスがこの曲にもしっかりとあるのだ。 ただ、Blues Drive Monsterほど切羽詰まった感はなくて、遊び心に満ちているというか、ある種のあどけなさが残る仕上がりでまとまっているように思う。
社会通念上は大人であるはずの私だが、精神は全くその成長に追い付けていない。 いつまでたってもホールデン・コールフィールドのままだ。 子供っぽさが残る曲が好きなのも、それが理由なのかもしれない。
さて、この曲の特に好きな部分として、私は「夜」の描写の仕方を挙げたい。 皆さんは、夜と聞いたらどんなイメージを持つだろうか? 人それぞれかもしれないが、一般的にはネガティブなイメージが強いのではないかと思う(明けない夜はない、という言葉が逆説的に示している通り) で、そんな「夜」という概念をこの曲ではどう表現しているのか? そこのところはこの記事では詳細に書けないので、直接その耳で確かめてほしい。
MY FOOT
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多分、バスターズの8割くらいはMY FOOTを好きな曲ベスト10に入れるんじゃないだろうか。 そう思えるほどに、この曲にはピロウズのエッセンスがギュっっっっっと詰まっている。
MY FOOTの歌詞、というかワードチョイスが個人的に非常にツボで、役目を果たせなかったモノのもの悲しさとか、場違いなイレギュラーの心細さがバシッと表現されている。 特にラスサビ前のBメロの歌詞は、「どうしてそんなピンポイントでこっちの気持ちを拾えるのよ」という感じだ。
こう書くと「なんかジメっとしてない?」と感じてしまうかもしれないが、実際にはそんな雰囲気はあまりない。 これは、メロディーがポップなことはもちろん、どこかカートゥーンチックな雰囲気が漂うワードセンスがいい味を出しているからだと思っている。 この点は、一つ前に紹介したノンフィクションにも共通している部分だろう。
ポップだけどどこか寂しくて、孤独だけど前向きにもなれる。 この絶妙なバランス感覚で、一見ネガティブな要素を力強く、ポジティブに歌い上げるのがピロウズの神髄なのかもしれない。
バビロン天使の詩
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PVがあまりにもダサすぎる ことで有名なこの曲。 そのPVだけは見たことがある、という人もいるだろう。 実際、超超超ひいき目で見ても「どうかしてるぜ!」という感想しか出てこない。 予算の関係だとかでこうならざるを得なかった、とかなんとかいろいろ事情があるらしいのだが、それにしたってこれは……。 気になる方は「バビロン天使の詩 PV 」とかで検索してみてほしい。
で、肝心の曲のほうだが、これはもう文句なしで死ぬほどかっこいい。 イントロからBメロまでは軽快でどこかコミカルさを感じるのだが、Bメロの最後あたりから一気にぐぅーっとボルテージが上がっていき、最高に痺れるサビへと突入していく。
特にラスサビ。もうラスサビが信じれないほどかっこいい。 「ラストでサビを2回繰り返す曲は名曲」という勝手な持論を掲げているのだが、この曲はその筆頭候補として挙がる。 何がそんなに良いって、ギターの盛り上がりももちろん良いのだが、ここは特に歌詞が良い。 ワードチョイスがおしゃれすぎる。「愛」をそんな言葉で修飾するかね!?
という感じで、この曲は数あるピロウズの曲の中でも屈指のカッコよさと疾走感を誇っているのだ。 で、何度も聴いているうちに「PVもそんなに悪くないのでは?」「というか、このPVじゃなきゃいけないのでは?」とさえ思えてくるようになる(これは人による)。 かっこいいだけじゃなく、どこかおとぼけな感じがあって、でもキメるときにはキメてくれる。 そんなピロウズのイメージに、この曲もPVもぴったりに思えるのだ。
Ride on shooting star
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Ride on shooting starは、もうフィーリングと勢いで楽しんでくれればそれでOK。 歌詞がどーたこーだとかは気にしないで結構。Don’t think, feelでいこう。
……と言ってしまうとこの記事の根底が覆されてしまうので、今回は少しでも自分が好きなところを言葉にしてみようと思う。 一つは、やはりワードチョイスだ。 一体どういう発想でこんな言葉の組み合わせを考えつくのだろうか、という感じで、非常にユニークな歌詞に仕上がっていると思う。 字面だけだと「どゆこと!?」なのだが、それが曲になると彼らの表現しようとしている世界観に見事にマッチするのだから凄い。 まあ、言ってしまえば音楽なんて大体そういうものではあるんだが、特にピロウズはそこのところが上手いなと感じる。 単に私が好きなだけ、と言われたら返す言葉もないのだが。
もう一つの好きなところは、疾走感だ。 2分半という短い時間を一気に駆け抜けていくこの感覚は、先に紹介したバビロン天使の詩ともまた違った疾走感だなと思う。 爆発力と言ったほうが良いかもしれない。あとシンプルにメロディーが好きだ。 イントロから繰り返されるギターリフがとにかく好き。 シンプルだけど頭に残るこの中毒性はなんなのだろうか。
というわけで、結局なんやかんや色々と書いてしまったが、とにかく一度聴いてみてほしい。
天使みたいにキミは立ってた
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ピロウズのラブソングには一方的な恋を歌ったものが多い、気がする。 ただ、悲壮感が強く漂うものはあまりない気がしていて 「自由奔放にふるまうあの人に振り回されて、まるで相手にされません 」 という、無力感?儚さ?みたいな感じが前面に出ているものが多いと思う。
そんなピロウズのラブソングの中で特にお気に入りなのが、この「天使みたいにキミは立ってた 」だ。 何はともあれ一度聴いてみてほしい。
どうだろう、この圧倒的なワンサイドゲーム感 は。どうあがいたって手が届かないという確信がある。 「振り回されている」どころの騒ぎではなく、「そもそも認識されてないねこれ」という感じだ。 人生で一度も恋を成就させてこなかった男には、こういう曲が丁度良い。
それと、この曲からはどこか神秘的な雰囲気も感じるのも好きなポイントの一つだ。 この曲に出てくる愛しい人は、ほかのピロウズのラブソングよりも掴みどころがなく、まさに天使のようにするりと飛び立って、光の中に消えてしまいそうなイメージが浮かぶ。そこに、さわお氏のたゆたうようなボーカルとメロディーが合わさって、神秘感に拍車をかけている。 この独特の雰囲気は、ほかならぬピロウズだからこそ出せるものだと私は信じている。
空中レジスター
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いやーーーー本当に好きだ 。どうしてこんなに元気が出るんだろうか。無条件で泣けてくる。 空中レジスターに関してはそうとしか言えない。
この曲はメロディーが非常にシンプルで、だからこそ、とにかく真っすぐに心に入ってくる。 決して技巧に富んだ曲が嫌いなわけではないが、心から好きだと言えるのはこういう真っすぐな音楽だ。
歌詞の世界観はファンタジーよりな感じになっているのだが、芯の部分にはやはりピロウズらしさがあって、大人たちを手玉に取るようなトリックスター感 が醸し出されている。 ただ、一方的に翻弄しているわけではなくて、どこか危なげな雰囲気も感じられる。陰りと言ったほうが良いかもしれない。 それがまた良い。まさに「空中レジスター」なのだ。ギュッとこぶしを握り締めて「その調子だ!負けるな!」と応援したくなる。
やっぱり、ワードセンスが良いんだなあ。比喩的ではあるだけれどまどろっこしくなくて、メロディー同様にすーっと入ってくる。 だからこそ、単語や文章だけでは表現できない世界観を感じられるし、感情が揺さぶられるんだと思う。 私もそういう文章を書けるようになりたいものだ。
POISON ROCK’N’ROLL
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この記事を書くにあたって「いったいどの曲を紹介したものか……」とかなり悩んだわけだが、POISON ROCK’N’ROLLだけは絶対に、しかも最後に紹介する ことだけは最初から決まっていた。
こういうジャンジャン掻き鳴らす感じの曲は、大体最初のうちはノリノリで聴いているのだが、そのうちにやや熱が冷めて、最終的には個人的ナンバーワンではなくなる、というのが自分の中ではよくあるパターンだった。この曲に会うまでは。
POISON ROCK’N’ROLLだけは、何回聴いてもいつ聴いても毎回鳥肌が立つ。今この文章を書いてる瞬間にも聴いているのだが、やっぱり鳥肌が立つ。 粛々と流れてくるイントロとさわお氏のウィスパーボイス……からのフルスロットルのロックンロール。そして清々しいまでに毒々しいメッセージ。 まさにPOISON ROCK’N’ROLLというタイトル通り。 「かっこいい」というより「すこぶる気持ちいい」。私の心をここまでつかんで離さない曲は、未来永劫出てこないと思う。
もちろん、ここまでに紹介してきた曲も大好きだ。それは間違いない。 それでも、一曲だけ紹介しろと言われたのなら、多分POISON ROCK’N’ROLLと言うだろう。
私がこの世界を去るときは、絶対にこの歌を歌いながら去りたい。 それで「じゃあな馬鹿ども!!!!」と叫んで終わりたい。
最後に
やっぱりthe pillowsが好きだ。
今回、少ない引き出しを最大限に活用して「ピロウズの何が好きなのか? 」を言語化してみたが、そのおかげで、自分が間違いなくバスターズの一人であることを再確認できた。 曲に対するイメージや感想を言葉にするのはあまり好きではなかったが、拙いながらも言葉にしてみたことで発見できたこともあったので、良い試みだったと思える。 著作権の都合で歌詞をじっくりと紹介できなかったのだけが心残りだが、実際に曲を聴いてもらうほうが手っ取り早いので、ぜひそうしてほしい。
あと、この記事を書いている最中に「やっぱりこの曲も紹介してえ~~~」となった曲がたくさん出てきた。
確かめに行こう
I I think I can
RUSH
LAST DINOSAUR
Thank you, my twilight
New Animal
ターミナル・ヘヴンズ・ロック
BOYS BE LOCKSMITH
ムーンダスト
王様になれ などなど……
紹介したいのは山々だが、正直きりがないので今回はこれくらいにしておこうと思う。 上記の曲は、また気が向いたら改めて取り上げよう。
というわけで今日はこの辺で。